SNS時代のオウンドメディア選挙運動と公職選挙法

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議員出太郎です
「公職選挙」に関するあれこれを書いてみました。
「選挙」に出たいと思っている人、
「投票」って誰に?と思っている人、
「推し」たいけれどどうしたらいいかわからない人、
のブログです。ぜひ笑読ください。

SNS時代の選挙運動と公職選挙法

(現代的課題と法的論点)

SNS時代の選挙運動と公職選挙法

(現代的課題と法的論点)

オウンドメディア選挙運動

てるよ

困ったわ、もうすぐ大きな国政選挙があるのだけれど、私の支持している政党や候補者をSNSを使って応援したいのだけれどどうすればいいか、あまりよくわからない もちろんSNSは日頃からよく使っているのだけれど

出太郎

僕も直接選挙運動に関わるけれど、インターネットの選挙利用は、選挙運動期間に入ってから生ずることもある

考えてみよう

近年、インターネット、なかでもソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は情報伝達の主要な手段となり、政治活動、特に選挙運動においてもその影響力は無視できないものとなっています。2024年の東京都知事選挙や兵庫県知事選挙、国政選挙など、複数の選挙においてSNSを駆使した候補者が注目を集める一方、その運用方法が公職選挙法に抵触するのではないかとの疑義が相次いで指摘されています。 総務省の見解やメディアにより「法令違反のおそれあり」などと記され、結果如何に関わらず次期選挙に影響しかねない状況にあります。 そこで、まず現行法ではインターネット利用に関し、どこまで報酬の発生が可能なのか、また、金銭授受の発生はどのような案件で起こるのか、どこを改善すれば問題なくインターネットが利用できるのか、被選挙人候補者(以下候補者)だけでなく選挙人有権者(以下有権者)も含めて、公職選挙法の範囲において選挙運動期間中の行為を前提に考察します。

出太郎

では、それら「オウンドメディア選挙運動」について様々考えてみよう

オウンドメディア選挙運動のあり方

オウンドメディア選挙運動とは:
候補者が保有するインターネットメディアの総称で、被選挙人の独自アカウントサイトやブログ、SNSアカウントなどが含まれます。これらを公職選挙法の範囲内で活用し候補者の選挙を有利にします。
また、有権者のオウンドメディアに独自投稿で政党や候補者を後援することもできます。
現在のところ「オウンドメディア選挙運動を行なっても良い(メール等制限もあり)」と規定されています。
参照(総務省資料):https://www.soumu.go.jp/main_content/000427851.pdf
現在ネット上には、「文書」「写真」「動画」はもちろん「有料データ」をあげることも可能です。
注意するのは、以上のものについても撮影から編集・加工しアップロードまで有償で行なうことも考えられるが、それらに対価をしはらうと、「運動員買収」と見られる可能性があります。

いくよ

なるほど、インターネットを選挙運動に使ってもいいけれど、対価が生じてはいけないのね。

出太郎困る

そうだね。でもそこに問題が生じてきているんだ。

最近の具体的事例

(1) 兵庫県知事選挙(斎藤元彦氏)におけるPR会社への委託問題

2024年11月の兵庫県知事選挙では、斎藤元彦知事陣営がPR会社に対し、SNS運用を含む広報戦略を委託し、対価として71万5000円を支払ったとされる点が問題視された。
告発状によれば、PR会社社長自身がSNS運用を全面的に任されていたとブログで認めたこと、陣営関係者のSNS投稿、代理人弁護士による支払い事実の承認などが根拠とされた。陣営側はポスター制作等の依頼でありSNS運用は任せていないと説明したが、告発者はこれを不合理として、支払われた金銭は実質的にSNSを用いた選挙運動への対価であり、買収罪に該当する疑いがあると主張した。
この問題は、警察による家宅捜索にまで発展しており、SNS運用の外部委託が公職選挙法上の「選挙運動」に該当し、その対価支払いが違法となり得る可能性を具体的に示している。

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2024年11月兵庫県知事選のSNS運用で関係先捜索 公選法違反容疑の告発受け
2025年2月7日 19時10分
ネット記事:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250207/k10014715611000.html
兵庫県知事選挙でのSNS運用に関して、再選した斎藤知事がPR会社に対し選挙運動の対価として報酬を支払った疑いがあるとして出されていた告発を、神戸地方検察庁と兵庫県警察本部が受理したことが、関係者への取材で分かりました。今後、契約の具体的な内容や報酬が支払われた経緯などについて慎重に捜査を進めるものとみられます。

兵庫県知事選挙で再選した斎藤知事の陣営のSNS運用に関して、知事が兵庫県西宮市のPR会社に対し、インターネットによる選挙運動の対価として報酬を支払った疑いがあるとして、弁護士と大学教授が今月、公職選挙法違反の買収の疑いで、知事とPR会社の代表に対する告発状を神戸地方検察庁と兵庫県警察本部に提出しました。
これについて、神戸地検と兵庫県警が取り扱いを検討してきましたが、いずれも16日付けで告発を受理したことが、関係者への取材で分かりました。
兵庫県知事選挙の3日後、PR会社の代表は斎藤知事のSNS運用に関する記事をウェブサイトに投稿し「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げなどを責任を持って行った」と説明していて、検察と警察は今後、関係者から話を聞くなどして、契約の具体的な内容や報酬が支払われた経緯などについて慎重に捜査を進めるものとみられます。
斎藤知事は今月2日、告発状が出されたことについて記者団に対し「公職選挙法などに違反することはないと認識している」と述べたほか、代理人の弁護士も「報酬はポスター制作といった法律で認められた業務に対して支払ったものだ。
SNS運用については斎藤事務所などが主体的に行い、代表はボランティアだった」などとして、選挙違反となる行為はなかったという認識を示しています。

(2) 衆議院議員選挙徳島2区(山口俊一氏)におけるSNS運用委託問題

2024年10月の衆議院議員選挙では、山口俊一氏陣営がSNS運用委託費として業者に150万円を支払っていたことが明らかになった。
業者は、インスタグラムへの投稿企画やインスタライブの提案・実行を認めており、主体的・裁量的にSNS運用に関与した疑いが持たれた。一方、山口氏事務所は、撮影や編集は委託したが、「指示書」に基づき動画の選定や修正指示、配信は事務所側が行っており、最終的な裁量権は陣営側にあったとして公職選挙法違反を否定している。
ここでの焦点は、「指示書」の実態である。形式的に指示を出していても、実質的な企画立案や運用判断を業者が行っていた場合、それは単なる「言い訳」に過ぎず、業者による主体的・裁量的な「選挙運動」とみなされ、対価の支払いが買収罪に問われる可能性がある。
さらに、自民党本部からSNS活用と同時に、公選法に抵触しない形での業者への指示方法が指導されていた可能性も指摘されており、問題の根深さを示唆している。

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ネット記事:https://news.ntv.co.jp/n/jrt/category/politics/jrfc7771f6ac0046a783dc2077409c0715

2024年10月の衆議院選挙の際、徳島2区選出の山口俊一衆議院議員の陣営がSNSでの情報発信を徳島県小松島市の会社に150万円で委託したことが公職選挙法違反にあたるとして、3月4日、大学教授と弁護士が徳島地検に刑事告発したことが分かりました。
刑事告発されたのは、徳島2区選出の山口俊一衆議院議員の事務所の所長と出納責任者、そして小松島市の会社社長の3人です。
告発状によりますと、所長と出納責任者は、2024年10月の衆議院選挙で、山口議員を当選させるため、SNSの情報発信を通じた選挙運動をした報酬として、小松島市の会社に150万円を支払ったとして公職選挙法の事後買収の疑いが、小松島市の会社社長については被買収の疑いがあるとしています。
ネットでの選挙運動について、総務省は、「業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行った場合、報酬の支払いは買収となる 恐れが高い」としていて、告発状では新聞の取材に対して会社社長が、「インスタライブを提案するなどして実行した」などと認めている点から、「会社が主体的・裁量的にSNS運用の選挙運動を行って いたと認める余地は十分にある」と、指摘しています。
告発状は、知事選挙でのSNSの運用を巡り斎藤兵庫県知事らを刑事告発した神戸学院大学の上脇博之教授と、元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士が4日に徳島地検に提出しました。
刑事告発について山口事務所の佐野正孝所長は、四国放送の取材に対して、「選挙運動に関しては、事務所が企画・立案をしている。
会社には、動画撮影や編集作業を委託し、毎日、業務内容を記載した指示書を渡していて、会社側に主体性・裁量性は無かった」とコメント。
インスタライブについても、「企画から撮影、配信まで事務所が行っていて、会社はライブ動画を短く編集する作業しかしていない」として、「公職選挙法違反には当たらない」という認識を示しています。

(3) 東京都知事選挙(石丸伸二氏)におけるライブ配信「キャンセル料」問題

2025年2月、石丸伸二氏が東京都知事選の選挙期間中に行ったYouTubeライブ配信に関し、業者に97万7350円を「ライブ配信機材キャンセル料」の名目で支払っていたことが報じられた。
石丸氏側は契約はキャンセルし、業者はボランティアで行ったと説明している。
しかし、実際に配信が行われている以上、たとえ「キャンセル料」という名目であっても、実質的にライブ配信という選挙運動への対価とみなされれば買収罪が成立する可能性がある。
契約の有無やキャンセルの実態に関わらず、選挙運動に該当する労務に対し、事後であっても対価性のある金銭が支払われれば違法となるリスクがあることを示す事例である。

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週刊文春2月13日号報道抜粋:
彼の名は石丸伸二。
出身地でもある広島県安芸高田市の市長を辞職し、都知事選に挑戦している真っ只中だった。
だが「石丸旋風」の舞台裏で、ある重大な疑惑が浮上していた。選対関係者が声を潜める。 「実は陣営内部で、外部業者への発注を巡って、公職選挙法に違反する疑いが議論されていたのです」
選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」を確認すると、支出費目(広告費)の欄に集会があった七月五日分として、こう記載されている。
ライブ配信機材キャンセル料。金額は977,350円。支出先は、ライブ配信などを手掛ける会社K社(東京都港区)だ。
提出された領収書にも、但し書きに”ライヴ配信機材のキャンセル代”とある。 確かに、選挙の原則は「無報酬」だ。ポスター発注やウグイス嬢など法的に認められた支出以外は、場合によっては公職選挙法違反の「買収」となり得る。
<中略>
元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏が指摘する。
「有権者に投票を呼び掛ける決起集会で、こうした技術ある業者に主体性と裁量性を持たせてライブ配信をさせたとなれば、選挙運動に対する報酬を支払ったとして公選法違反の『買収』に問われる可能性もあります。支払いがキャンセル名目であっても、実質的な中身が焦点です。もしも故意に実態と異なる記載を選挙運動費用収支報告書にしていれば、虚偽記入の罪にもあたります」
<中略>
石丸氏本人の見解はどうか。質問状を送付すると、事務担当者のN氏の名前で次のように回答。かあった。
「選対の一部メンバーが、公選法への認識不足から、ご指摘のライブ配信業者に発注していました。とのメンバーから選対会議で報告を受け、公選法違反であるため、発注をキャンセルするよう指示し、選対幹部としてはキャンセルしたとの認識です。『直近でのキャンセルのため、全額キャンセル料がかかる』と、このメンバーより報告を受けており、選挙終了後に会計処理をしました」
<以下略>

出太郎

これらはまだ起訴されてはていないけれど、ともにいわゆる運動員買収行為と見なしている。
以上の問題は「選挙運動期間中における運動員買収行為」とインターネット普及に伴う「インターネット利用に伴う対価・報酬」の双方を理解しないとならない問題が生じる可能性があるね。

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