オウンドメディア(SNS等ネット利用)選挙運動

出太郎

ネット選挙といわれているけれど、最近特にSNS等を利用した「オウンドメディア選挙運動」が盛んに利用されているようだけれど、問題も多いようなので「オウンドメディア選挙」をちゃんと整理してみよう

オウンドメディア選挙とは

「オウンドメディア」とは
出太郎

「オウンドメディア」とは、政治・選挙の場合では政党や政治家が独自で所有・運営するメディアのことです。 ウェブサイト、ブログ、メールマガジン、SNSアカウント、動画チャンネルなど、様々な形式があります。主な目的は、顧客との良好な関係を築き、ブランドイメージを高め、最終的には政策や選挙に反映させの国家・国民の成長に繋げることです。 政治活動や選挙活動において、「オウンドメディア」は以下のような形で広く活用されています。

オウンドメディアの特徴:

候補者や政党の公式ウェブサイト:これが最も代表的なオウンドメディアです。
情報発信: 候補者のプロフィール、政策、活動予定などを掲載します。
ブログ・お知らせ:日々の活動報告、選挙に関するニュース、政策の詳細解説などを発信します。
問い合わせ・意見収集:支持者や有権者からの意見を受け付ける窓口となります。
ボランティア募集:協力を呼びかける窓口となります。
メールマガジン:サポーターや関心を持ってくれた有権者に対して、直接的に活動報告やお願い(投票依頼、集会案内など)を届けます。
YouTubeチャンネル:演説の動画、政策説明の動画、活動の様子などを発信します。
公式SNSアカウント:X(旧Twitter)、Facebook、Instagramなどのアカウントを所有しそのものや、そこに投稿するコンテンツは、厳密にはプラットフォーム企業の所有ですが、候補者や政党が内容をコントロールできる情報発信チャネルという意味で、実質的にオウンドメディアに近い役割を果たします。最新情報の速報や、短いメッセージの発信に活用されます。
選挙においてオウンドメディアが有効な理由
出太郎

政治活動や選挙活動において、「オウンドメディア」ツールは以下のような形で広く活用されています。

選挙においてオウンドメディアが有効な理由

メッセージのコントロール:メディア報道などを介さず、候補者や政党が伝えたいメッセージを正確に、自由に発信できます。
情報の一元化:政策、経歴、活動予定など、候補者に関する重要な情報を集約し、有権者がアクセスしやすいように提供できます。
サポーターとの関係構築:政策、経歴、活動予定など、候補者に関する重要な情報を集約し、有権者がアクセスしやすいように提供できます。
コスト効率:テレビCMや新聞広告といったペイドメディアに比べ、比較的低コストで多くの情報を発信し続けることができます(ただし、制作や運用には手間がかかります)。
情報資産の蓄積:ウェブサイトに掲載された政策や過去のブログ記事などは、選挙後も情報資産として残り、次回の活動にも活かせます。
直接的な行動の喚起:ウェブサイト上で、寄付、ボランティア登録、集会への参加、期日前投票の案内など、具体的な行動を有権者に促すことができます。
最重要はリードの獲得
出太郎

リード獲得(リードジェネレーション)とは、将来的に後援者となる可能性のある有権者の情報を手に入れることです。具体的には、政党や政策に興味を持つ有権者の連絡先(氏名、メールアドレス、電話番号など)を、コメントや問い合わせなどを通して獲得するプロセスを指します。

リード獲得の目的:

後援者獲得:将来的に後援者となる可能性のある有権者を増やし、得票アップにつなげる
政治活動の効率化:有益な意見コメント等、質の高いリードを効率的に獲得し、政治活動の効率化を図る
顧客情報の収集:有権者のニーズや興味関心などの政治情報を収集し、より効果的な政党や政治活動を行う

リード獲得の方法:

Webサイト:コメント収集、問い合わせフォーム、資料請求フォーム、メルマガ登録フォームなどを設置し、有権者に連絡先を入力してもらう
広告:Web広告、SNS広告、リスティング広告など、有権者にアプローチする(選挙運動時には要注意)
イベント:セミナー、講演会、ウェビナー(インターネットを通じてオンラインで開催されるセミナー)などを開催し、有権者・後援者と直接接する機会を設ける
テレマーケティング:電話での世論調査等を通じて有権者に直接アプローチし、興味やニーズを把握する

リード獲得のポイント:

ターゲットを明確にする:誰をターゲットとするかを明確にし、そのターゲットに効果的な施策を行う
質の高いリードを獲得する:後援者になりそうな有権者の情報を取得し、政治活動の効率化を図る
継続的なリード獲得:定期的にリード獲得施策を行い、後援者の獲得を継続的に行う
リードナーチャリング:獲得したリードに対して、継続的なコミュニケーションを行い、投票意識を高める

リード獲得の成功事例:

Webサイトでの資料請求:問い合わせフォームに興味のある有権者が、資料請求等を通じて連絡先を提供し、リード獲得に繋げる
広告によるリード獲得:Web広告やSNS広告でターゲットに合わせたメッセージを配信し、ランディングページに誘導して連絡先を収集する(選挙運動時には要注意)
イベントでの名刺交換:セミナーや講演会などで、有権者と名刺交換によりWebサイトへの誘い込み、連絡先を取得する
オウンドメディア選挙運動のデメリット
出太郎

オウンドメディア選挙運動にも「ディメリット」や「要検討」がある。
適切に対応しよう!

オウンドメディア選挙運動のデメリット:

効果が出るまでに時間がかかる:コンテンツを積み重ね、認知されるまでには時間がかかります。即効性は期待出来ません。
運用に知識と手間とコストがかかる:企画、記事制作、公開、更新、分析など、継続的な運用にはある程度の知識と人手やコストが必要です。
すぐに拡散されにくい:広告のように瞬時に多くの人に届けるのは難しく、基本的には有権者が自ら探しに来る「プル型」のメディアです。
コンテンツの質が重要:有権者のニーズに合わない、価値のないコンテンツではリード獲得やSNS等での良いコメント取得は難しいです。
オウンドメディアを成功させるためのポイント
出太郎

選挙には欠かせないオウンドメディア選挙運動を、より確実に成功させるためのポイントだよ!

オウンドメディアを成功させるためのポイント:

目的とターゲットを明確にする:誰に、何を伝えるためのメディアなのかをはっきりさせることが重要です。
質の高いコンテンツを継続的に発信する:読者にとって有益で、専門性や独自性のある情報を発信し続けることが成功の鍵です。
有権者の世代間のニーズを理解する:どんな世代にどんな情報が求められているかを調査し、コンテンツ企画に活かします。
他のメディアと連携する:SNSでコンテンツをシェアしたり、広告で誘導したりするなど、他のメディアと組み合わせて運用効果を高めます。
効果測定と改善を続ける:アクセス解析などを行い、有権者の反応を見ながらコンテンツや運用方法を改善していきます。
注意点(公職選挙法のオウンドメディア選挙項目)
出太郎

選挙活動におけるインターネット利用や情報発信には、公職選挙法によって様々なルールが定められています。例えば、有料広告の制限、記載事項(氏名、連絡先など)の義務付けなどがあります。オウンドメディアを運用する際は、これらの法律や規制を遵守することが非常に重要です。
特に以下3点については慎重に行なってください。

1. インターネット広告は政党のみ

公職選挙法では、選挙運動期間中にインターネット広告(有料のバナー広告や検索連動型広告など)を掲載できるのは、政党のみと定められています。
候補者個人や後援会が、選挙運動のためにインターネット広告を出すことは禁止されています。
政党が掲載できるインターネット広告の内容にも、様々な規制があります。例えば、虚偽または悪質な内容の表示は禁止されています。
政党のウェブサイトやSNSアカウントそのものは、選挙運動期間中も情報発信に利用できますが、有料広告の掲載主体はあくまで政党に限られます。 この規制の背景には、資金力のある候補者や団体が有利になりすぎるのを防ぎ、選挙運動の公平性を保つという目的があります。

2. 選挙運動メール送信は候補者・政党のみ

選挙運動期間中に電子メール(SMSを含む)を送信できるのは、原則として候補者本人(名簿登載者を含む。)および政党等(候補者届出政党、名簿届出政党、確認団体)に限られています。
候補者本人が送信する場合も、事前に総務省に届け出た電子メールアドレス等を使用する必要があります。
受信者が事前に送信に同意している場合や、候補者・政党のウェブサイトURLなどを告知するメールなど、一部例外的に認められるケースもありますが、原則は候補者本人のみと理解しておく必要があります。
これは、無差別な電子メールの大量送信による有権者の混乱やプライバシー侵害を防ぐための規制と考えられています。

3. 有償の選挙運動に当たる行為は要注意

選挙運動は、原則として無償で行われるべきものとされています。そのため、有償で選挙運動に当たる行為を行うことは、公職選挙法で厳しく制限されています。

注意が必要なインターネット上の行為の例:

報酬を支払って特定の候補者の演説会等を撮影・編集してもらい、SNS等に投稿する

インフルエンサーなどに依頼して、報酬を支払って特定の候補者の支持を呼びかける投稿をしてもらう

選挙運動期間中に、自身のウェブサイトやSNSで有料の広告掲載をして、特定の候補者を応援する

組織的に、報酬を支払ってSNSなどで特定の候補者に関する好意的な情報を拡散させる

これらの有償の選挙運動に当たる行為は、買収や利益誘導とみなされ、重大な選挙違反となる可能性があります。インターネット上での活動においても、無償の原則を意識し、疑わしい行為は避けるように注意が必要です。

また、選挙運動員への法で定められた上限内報酬の支払いであっても、候補者の特定選挙運動行為とみられる場合があるので注意が必要です。

ま と め

オウンドメディア選挙運動は、候補者が自らの情報発信の場を持ち、有権者との関係を築きながら、得票の拡大を達成するための重要な手段です。
すぐに効果が出るものではありませんが、政治活動時からの長期的な視点で質の高いコンテンツを継続的に発信していくことで、候補者の大きな資産となります。
オウンドメディアを運用する際は、法律や規制を遵守することが非常に重要です。特に選挙運動期間中は、公職選挙法との整合を鑑みて常に慎重に情報発信を行なうことが大事です。

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